Mt.FUJI

2023 Mt.FUJI 100 レースレポート

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日本で一番大きなトレイルランニング大会、ウルトラトレイルマウントフジ。
(※ULTRA-TRAIL Mt. FUJI 略称FUJI 旧称UTMF)

私は、2013年にこの大会で37時間かけて初のマイラーとなり、2019年、2022年度完走。今年2023年は自己最高記録の25時間台でフィニッシュできたので、その経過と、完走や上位を目指したい方へトレーニング方法や、コース戦略のアドバイスができればと思います。

結果

  • タイム 25時間39分
  • 総合順位 42位(男子40位、年代別10位) ※出走者2,387人

順位の推移は以下の通り。(※男子カテゴリ)

昨年は50位だったので、さらなる飛躍ができた大会でした。しかし、富士宮から麓までをちょっとプッシュしすぎたかなと。そのツケが忍野から二十曲の停滞に繋がったようです。

大会概要

スタート直後は、下り基調の林道をひたすら富士宮へ。これが罠。後半撃沈するランナーはここを気持ちよく走ってしまいがちですね。

戦略

  • 目標は26時間台で50位以内
  • ラスボス杓子山の二十曲まで心拍は140台をキープ
  • 124kmの山中湖きららから本気出す
  • 補給はエネもちとANDOのみ

まさに石橋を叩くような戦略。FUJIは、序盤は林道、中盤にロードが長く、スピードを出しすぎてしまうと、核心の山中湖以降を前にして足が終わってしまいます。そうならないよう、ペースではなく心拍でコントロールします。そして補給は、いつものエネ餅とANDOのおしるこコンビ。NO MORE下痢。

経過

  • 前日は緊張でほとんど寝られず睡眠不足
  • スタート直後から心拍が異常に高いのでペースを抑える
  • 40km:天子山地で水切れ。前腿に痛みと、両膝痛発症
  • 70km:本栖湖、精進湖は我慢の走りで、徐々に回復
  • 90km:富士急ハイランドで復調
  • 110km:忍野で猛烈な睡魔と戦う
  • 120km:山中湖から本気出すも、なかなかペース上がらず
  • 130km:二十曲で元気取戻し、チャージ開始
  • 150km:ラスボス霜山は猛アタック
  • 最後は6人抜きでゴール!

前日受付は長蛇の列。3時間待ちの方もいたとか。私は早めに行ったので30分弱で完了するもそれでも暑くてヘトヘト。来年は受付開始と同時に終わらせたいですね。

前泊は時之栖。こちらはお風呂も大きくて、ご飯も美味しく、当日は30分程でスタートのこどもの国に行けるのでおすすめ。

レースは、緊張からくる寝不足でスタート直後から心拍が異常に高く、調子が悪いことを自覚しました。追い打ちをかけるように天子山地で脱水症状となり足攣り・膝の激痛で心も体も一度くたばってしまいました。

しかし、チーム100マイルで教わった「ペースを落として復調を信じて待つこと」、「そのペースで160km行けるのか自問自答すること」という言葉を呪文のように呟き、自身の今起きている状況を俯瞰し、経験や知識の引き出しから原因を探り対処を施し、効果を確認しながら前進し続ける。(このプロセスを楽しめる精神状態を保てたのが鍵だったのかもしれません)

すると、徐々に復調し73km地点の精進湖では前向きな気持ちに切り替る。その後も体調の悪化、睡魔のささやき、回復の多幸感、天国と地獄を行き返しながら138km地点の二十曲でついに心も脚も息を吹き返しました。

そこからゴールまでは、ポジティブに駆け抜け目標を達成することができました!また、道中、チームメイト、初めてあった人、関係なく声をかけ鼓舞しあい、力を貰ったのも大きかったと思います。

トレーニング

  • 期分けを意識
    • 12月、1月:短時間高負荷→峠走移行
    • 2月:峠走
    • 3月:ロングトレイル
    • 4月:テーパリング
  • 各月の実績
    • 12月 距離285km 累積7,000m 31時間 
    • 1月 距離216km 累積7,000m 26時間 →新型コロナ罹患
    • 2月 距離228km 累積6,700m 23時間 →ロタウィルス罹患
    • 3月 距離403km 累積17,000m 52時間
    • 4月 距離336km 累積14,000m 46時間
  • 毎週木曜日は階段練習

12月から本格的に準備を開始しました。まずは、Vo2MAXの強化で短時間高負荷練習。具体的にはヤッソ800と階段トレーニングを中心に。ハーフマラソンにも出て80分とまずまずの結果。出だしは順調でした。しかし・・・

1、2月に新型コロナ罹患、ロタウィルス罹患と立て続けに体調を崩し、想定した練習をこなすことができませんでした。それでも、体力が落ちないよう、階段練習は毎週行っていました。結果としてこれが体力の低下を最低限で防いでくれました。

3月からやっと本格的な練習を再開。足柄峠走、ヤビツ峠+塔ノ岳、FUJI合宿と、毎週末、満足いくトレーニングを詰めました。

4月は週末に雨が続き、なかなかトレイルに入られず、本来なら2週間前にはポイントとなる練習は切り上げるつもりが、1週間前に峠走を一本。これが良くなく、大会本番までなかなか疲れが取れなかったです。

体調不良による練習不足、テーパリング失敗にもかかわらず、結果が出たのは、階段練習と、3月の走り込みがキーと思います。一つとして、「ただ走っているだけ」はなし。しっかりと、この練習は何が目的か考えて取り組んだことが、結果に繋がったのだと思います。

良かったこと、悪かったこと

  • 良かったこと
    • 階段練習は絶大な効果あり
    • エネ餅とANDOで下痢や気持ち悪さはなし!
  • 悪かったこと(課題)
    • テーパリングの失敗
    • 前日の寝不足
    • 富士宮ー麓までの水不足
    • エネ餅とANDOは重い!
    • 登りの歩き方がわからない!

良かったこと。

階段練の効果。地味でつらくスピード強化にはつながらないものの、100マイルレースには必要不可欠な練習です。特に、後半の脚の復活は階段練習の効果と思います。階段練習については、別途、記事をアップします。

悪かったこと。

富士宮から麓の天子山地は、水1リットルでは足りない。1.5は必要でした。また、今回エネ餅とANDOのみとしたのですが、重い!!ドロップバックポイントが2か所の信越五岳ならまだ良いのですが…。食料の軽量化は模索しないといけません。

そして、登りの歩き方がわからないこと。私は、基本、トレイルの練習では「山の登りは絶対に歩かないマン」です。つかんで登られない岩場以外は、絶対に走ります。場合によっては、その場で足ふみして息を整えますが、絶対に走ります。しかし、レースでは登りはほとんど歩くんですよね。気づいたんです。「あ、歩き方わからん」。練習が必要ですね。

主な装備類

  • ザック:paagoworks Rush3
  • シューズ:Salomon Urtra Glide
  • ボトル:North Face 500mlフラスコ2本
  • メインライト:mile stone Ms-i1
  • レインウェア上:North Face ストライクトレイルフーディ
  • レインウェア下:mon bell バーサライト
  • サングラス:Jins 調光レンズ
  • 時計:Garmin Forerunner 955
  • 心拍:Polar Verity Sense
  • インナーパンツ:inner-fact シームレスパンツ
  • ゼッケンホルダー:inner-fact ナンバーベルト

今回のレースのために新たに新調したものは、シューズ(3足目)のみ。全てこれまでの経験で厳選された逸品。一つ一つ紹介すると、記事も終わりませんので、個別でそれぞれ記事を立てて行きたいと思います。

アドバイス

  • 完走するには
    • 平日に階段練習、土日のどちらか3~5時間走る
    • こまめに食料をとる
    • 絶対にゼーハーしない!
  • 100位以内めざすには
    • しっかりと期分する。鏑木メソッド、必読!
    • 峠走をする!
    • 脳死状態の走り込みはしない。目的意識をもって、質の高い練習をする
    • 前半は抑えて!富士急ハイランドまで準備運動と思って
    • できれば2日かけて試走

完走するには。

2013年に本レースで37時間かけてマイラーになりました。その時は、トレーニング理論などなく毎週末4~5時間くらいトレイルを走ってました。ベースはできていたと思います。スタートからのんびり歩きを中心に、仮眠をとりながら、エイドの食料を楽しみつつ進んだことが完走につながったと思います。振り返ると、階段練習してれば、もっと楽に完走できたと思います。

一番は試走がいいのですが、無理な方は、トレイルとロードが混ざったコースを3~5時間、月に1回は8時間くらい、行動できるといいですね。ゆっくりで大丈夫です!

100位以内をめざすには。

100位以内は夢ではないです。それなりにベースの走力があれば、しっかりと期分して、短時間高負荷 – 峠走(閾値走) – ロングトレイルを、段階を追ってこなしてレース本番に体を仕上げていけば必ず100位以内に入れます。(詳しくは鏑木毅著 鏑木メソッド)

やみくもに一気に100km走ったり、夜間走したりする方もいらっしゃいますが、そんなの不要。だったら、2日にわけて、トレイルとロードがまざった50km-50kmを、BtoBしてください。また、絶対にBtoBを多投しないこと。疲れがたまって怪我しますし、質の高い練習が積めません。

そして、前半は抑える!特にスタート直後の下り基調の林道は、アドレナリンも出ていて飛ばしがちです。どんどん先を進むランナーがいたら、ほくそ笑んで譲りましょう!

まとめ

  • 練習不足、当日の体調も悪かったけど、冷静に対処し自己ベスト
  • テーパリングは難しい
  • 歩いて登る練習をする
  • 階段練、万歳!私の練習方法は別途記事化する
  • エネ餅とANDO最高!でも重い・・・
  • 装備の詳細は別途記事化する
  • それなりに練習してれば、前半おさえて、しっかり補給をとれば完走できる
  • 100位以内めざすには、「鏑木毅著 鏑木メソッド」を読め!

ABOUT ME
Ryohei Kobayashi
Ryohei Kobayashi
会社員、トレイルランナー
44歳。会社員トレイルランナー。ランニング歴25年。
トレイルランニングの魅力を発信します。
チーム100マイル、LDA-RC所属
【直近の成績】
2022 信越五岳100mile 25:05:37 14位
2023 Mt.FUJI 100mile 25:39:32 40位
2024 Mt.FUJI 100mile 25:01:46 25位
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