2024 Mt.FUJI 100 レポート【②トレーニング編】
自身6回目の100マイルレースとなったMt.FUJI。結果は25時間1分46秒、男子25位で完走することができました。本レースについて、①概要、②トレーニング、③準備、④レース前半、⑤レース後半、⑥振り返りの全6回の超大作で報告したいと思います。
今回は【②トレーニング編】です。
長い故障明けからのスタートと新たな故障
- 本格的なトレーニングは12月から開始。
- 指標として、週間で走行距離100km、累積上昇5,000m、行動時間13時間
- 3月後半からシンスプリントを発症。ボリューム期に満足に走れなかった
2023年6月~11月 月間走行距離推移
実は昨年2023年のMt FUJI 100を完走後、脹脛の筋断裂を発症し、なかなか根治ができず走られない状態が続きました。正確に言うと、走っては再発するの繰り返しで埒が明かず、最終的には8月をまるまる休足とするなど、体力の低下はここ数年で一番の底にありました。
本格的にトレーニングが再開できたのは10月から。故障の再発は絶対にしたくないので前週の10~20%ずつ徐々に増加させつつ、12月より本格的なトレーニングを行えました。指標としては、週間で走行距離100km、累積上昇5,000m、行動時間13時間を定め、順調にメニューをこなしていました。
しかし、3月中旬にシンスプリントを発症。大事なボリューム期に強度を落とさざるを得なかったことが目標24時間切り未達の原因の一つと考えられます。
スケジュール
- VO2max → LT値強化 → ロングトレイル という期分けをはっきりさせる
- 4月の2週からテーパリング
漫然とトレイルを走っているだけでは、100mileを制限時間内に完走はできても、満足いく結果は得られないでしょう。逆に言うと、走行距離が少なくてもポイントを押さえたトレーニングができていれば100mileは走られるものです。
チーム100マイルのある選手は、自転車とHIITトレーニングを中心とした組み立てで女子の表彰台の常連となっています。これは、個人差もあるので人それぞれですが、考え方としての一例です。ただ長い距離を走るということではなく、期分けをしてメリハリをつけた練習が必要になってきます。
12~1月 VO2Maxの強化期 例)短時間高負荷練習 階段練、坂ダッシュ
2~3月中旬 LT閾値の強化期 例)峠走、トラック閾値走
3~4月初旬 ボリューム期 例)ロングトレイルラン、ロングjog、コース試走
4月中旬 テーパリング
今回、私は行動時間と圧倒的な累積標高の獲得に力を入れました。最後まで売り切れない脚。売り切れそうで売り切れない、粘りをつけるためです。一方で、走行距離は結果として捉え一喜一憂しないこととしました。
では、結果はどうだったでしょうか。
実績
- 12月 285km 38時間23分 13,832m
- 1月 420km 56時間19分 19,554m
- 2月 438km 55時間3分 19,154m
- 3月 500km 66時間53分 24,223m
- LT閾値トレーニングまでは絶好調!
- しかし、3月中旬でシンスプリントを発症しボリュームを落とした…
2023年12月~4月 月間走行距離推移とトレーニング傾向
12月 285km 38時間23分 13,832m
走行距離は低いものの累積標高は13,000mを超えています。それは階段や坂を使った短時間高負荷練習をしっかり取り組んだ結果。特に年末の1週間連続階段練習(250mアップ、1km)は、脚を復活させた大きな効果がありました。一方で、急性の足底筋膜炎を発症し、悪化はしないものの1~2月は仲良くつきあいながらのトレーニングとなりました。これは諸刃の剣ですね。
1月 420km 56時間19分 19,554m
木曜日に階段や坂練のVO2Maxの強化をいれつつ、週末に短めの峠走を入れ始めました。この木曜練はボリューム期に移行しても通期で行うものとしました。
2月 438km 55時間3分 19,154m
本格的な峠走の開始です。足柄峠、ヤビツ峠、日影沢林道、そして今季開拓した陣馬山峠走。これらによりLT閾値が急激に向上し、2月末のヤビツ峠ではセグメントを53分10秒とPBを3分以上大幅に更新することができました。今思うと、この頃がピークだったように思えます…。
3月 500km 66時間53分 24,223m
峠走からロングトレイルに移行します。しかし、ここで右脛にピリピリとした疼く痛みが発生するようになりました。いわゆるシンスプリント。すぐに根治の対策を打てば良かったのですが、マッサージで良くなるだろうとセルフケアで放置し練習を続行。案の定、3月中旬のFUJI合宿明けから、全力で走ることができなくなりました。バイクトレーニングも入れるなど、平日の練習は強度を落とさざるを得ませんでした。
4月 326km 46時間55分 13,467m
シンスプリントは快方に向かうも根治できず。走ると違和感が残るため、平日の練習は自転車や自宅近くのトレイルを歩くことに徹しました。4月7日のFUJI後半の試走を最後に強度の高い練習は控えました。本来なら4月2週もしっかりと走りこみたかったのですが…。
故障は快方に向かう一方で、家庭都合で4/14~21までタイに渡航しました。日中の気温は40℃。早朝でも30℃を超す中をジョグ。本番10日前、5日前にトレッドミルの閾値走を40~50分行い最終調整。暑熱適応することができ、本番での気温上昇にも対応することができました。
試走
- 試走の目的はコースを知ることもあるが、データをとること
- その結果を踏まえて、タイムチャートや補給量を検討したい
- 私は4回試走を行い、内、山中湖からの後半を3回行った
試走の際は、区間の経過時間、補給内容をメモしました。理由は、データを残すことで、身体の仕上がりを客観的に判断できるからです。理想は回数を重ねるごとに徐々に良くなることがいいのですが、シンスプリントの発症で3/17がピークでそこからパフォーマンスが落ちていることがわかりました。また、本番の装備で臨み、ギアの使い勝手や改良点などを確認ができたことは良かったです。
3/16 朝霧高原-勝山 38kmkm 1,397m 4時間30分
3/17 山中湖-河口湖 37km 2,548m 6時間14分
3/30 富士急-富士吉田 53km 2,825m 7時間18分
4/7 山中湖-河口湖 37km 2,569m 6時間21分
今回はここまで。次回は準備について報告したいと思います!