Mt.FUJI

2024 Mt.FUJI 100 レポート【⑤レース後半編】

resirun-ryohei

自身6回目の100マイルレースとなったMt.FUJI。結果は25時間1分46秒、男子25位で完走することができました。本レースについて、①概要、②トレーニング、③準備、④レース前半、⑤レース後半、⑥振り返りの全6回の超大作で報告したいと思います。

今回は【⑤レース後半編】です。

F4 北麓公園 – F5 忍野

  • 累積距離:113km (区間距離:15.6km 獲得標高:555m)
  • 累積時間:15:16:38 (区間時間:2:15:46)
  • IN 50位 OUT 50位(区間順位:97位)
  • 前腿の筋疲労がピークを迎える
  • 脱水症状の影響でペースが落ちる。本レースの底

北麓公園に着いた頃には、脱水で命からがらといったところ。エイド内の動線がわかりづらく、自分がどこに向かっているのかいまいちわかりませんでした。ただ、サポートのみなさんに誘導してもらって体育館へin。

これまでのエイドのルーティンと変わりなく淡々とこなします。約6分でアウト。LDA-RCのチームメイトとハイタッチで力を貰い、また、ちょうどKAIの受付のランナーの皆さんに拍手で見送られ後半戦に突入です。

しかし、力が入らない…。北麓公園を出てすぐに下り基調の長いトレイルが続くのですが、走ってはいるものの力が入らずスピードが出ない。後続するランナーにどんどん抜かれていきました。ちょうどこの場面を車ですれ違った友人の見立てでは、そのまま落ちていくだろうと思ったそうです。そのぐらい、主観的、客観的どちらも底だったようです。

私といえばいまだフラフラする足取りで小倉山に入ると、「小林さ~ん!」という明るい声が後ろから聞こえました。振り返るとLDA-RCのjinさんです。「やっと追いつきましたよ~!」という超絶調子の良さそうな笑顔。私の心が完全に折れる音が聞こえました。足取りも私と違って力強く、鐘山苑の裏の坂を走って登っていく様は、格好良かった。

しかし、ここが我慢のしどころ。忍草山前後から北麓公園で摂取した水分とコーラが効き始め、忍野エイドが近づくにつれて徐々に体調も戻ってくる感触がありました。トレイルに入ると復活するのは、垂直方向トレーニングの効果だと思います。

F5 忍野 - F6 山中湖

  • 累積距離:122.5km (区間距離:9.5km 獲得標高:417m)
  • 累積時間:16:47:55 (区間時間:1:25:16)
  • IN 47位 OUT 45位(区間順位:48位)
  • 水分を摂り、身体を動かし続けることで徐々に体調が良くなってくる感触
  • 一方で、思考能力の低下からエイドワークにてこずるようになる

忍野エイドに入ると同時に、先行のjinさんがエイドを出て行きました。思った以上に差がついておらず、まだまだいけるぞ。よしよし。と思えるほどに復活してきていました。

一方で、疲労から思考回路がショートしていて、いつものエイドルーティンがスムーズにできなくなっていました。無駄にザックを下ろしたり、背負ったり。荷物を出したり引っ込めたり。エイドを出ようとしてからトイレに入ったりして、気づけばエイドで6分経過していました。驚いたのは、エイドで奥宮選手が寝ていた事。どうやら体調が悪くなったらしく30分ほど仮眠をされていたようです。

エイドを出てからは長い広域農道を4kmひたすらに走ります。しかし、そんなにつらくなく、淡々と走ることができました。数百m先行するランナーとの差もそこまで広がりませんでした。今年、新ルートのトレイルも一度試走をしていることもあり、疲労感はそこまで感じずに登りきることができました。

やっぱり登りは楽。だけども下りはペースが上がらない。この流れはゴールまで変わらない傾向でした。

F6 山中湖 - F7 二十曲

  • 累積距離:136km (区間距離:13.5km 獲得標高:1,187m)
  • 累積時間:19:44:55 (区間時間:2:50:45)
  • OUT 29位(区間順位:21位)
  • 心は前傾姿勢。登りは相変わらずペースが良い
  • 一方で、前腿の痛みから下りでスピードが出ないため区間全体のタイムは悪い

Mt.FUJIは、山中湖からが本当のレースです。本来ならここまで体力を温存すべきところなのですが、例年、からっからの干物の状態で突入してしまいます。今年こそと思いながらも…例年どおり干物状態でした。ただ例年よりは幾分かましで、脚は終わりかけているものの、気力はしっかりありました。補給がここまでうまくいっており、そこまで悲観的にならずに済んだことも要因にあるかと思います。

疲労により思考回路がバグっているので、ゴミやボトルの入れかえ、補給食の詰め替えはサポートにお願いして、私はリンゴを食べちゃったり。この快適さ。感謝しかありません。5分ほどでエイドをアウトし、ここからが本番と気合入れに頬を一発叩いて、出発しました。

7分ほど先行しているJinさんを目標に、歩を進めます。ここからはトレイルなので登りは歩きを中心に果敢に攻めていきます。次々とランナーをパスしますが、jinさんではない。結局、二十曲までに差が30分近く開いていました。足が痛くて下りが攻めきず、体感より遅かったようです。

しかし、ここの区間で16人近くをパスしました。特に二十曲エイドでは、大瀬選手、中谷選手、山本選手、牧野選手など錚々たる有力選手が腰を掛けて休んでおり、ここまでの激戦を思い起こさせます。

まさに兵どもが夢の跡。

勝負をした結果。尊敬の念を込めてエイドを後にしました。

F7 二十曲 – F8 富士吉田

  • 累積距離:147.8km (区間距離:11.8km 獲得標高:783m)
  • 累積時間:22:06:34 (区間時間:2:22:17)
  • IN 26位 OUT 26位(区間順位:24位)
  • 有力選手をパスすることでエネルギーが湧く
  • 杓子山の下りで前腿は完全崩壊…も、林道を淡々と走ることで復活

エイドを出てからも登りの動きはとても良く、パワーハイクで杓子の山をガシガシ登っていきました。勝手知ったるコース。二十曲から杓子山山頂までは5km 700mUP。岩場で忍野の表札が見えればもう少し。ニセピークは3回。頭にしっかり入っています。

ちょうど一番危険で斜度のある岩場にちょこんと腰をかけ、童子の笑顔で応援してくれる選手がいました。いいのわたる選手です。

「凄いなぁ~、まだまだ力あるねぇ~、ここまで温存してたな~笑」

などと私の攀じる格好をみながらニコニコ顔で声をかけていただきました。こんなレジェンド選手とコース上でコミュニケーションが取れること自体、夢のようでし!それでなくても眠気でフラフラになっているので、そのまま夢にならないように、3点支持をしっかり行い事故だけは起こさないよう注意して進みました。

無事杓子山の山頂を経て、地獄の激下りの始まりです。まず前腿の激痛。完全崩壊。一歩一歩で顔が歪む。そして尻もちを何度もつく。本当にここは長かった。体感では試走の3倍以上の距離感覚。あまりにも林道に出ないので、コースロストしていないかマーキングを確かめに何度も立ち止まり振り返ったくらいです。

やっと斜度が緩くなり、林道に入ると足の激痛も和らいでいくのがわかりました。ペースは上がらないけど、走る気力があるだけでもOK。これはいけるぞ!と最終区間に向けて戦闘意識を高めていくことができました。

林道に出たところの誘導員のおじさんに「あと2kmだよ~」と声をかけられました。が、私は知っている。あと5kmだということを。ニヤニヤしながらそんなことを思えるほどに余裕が出てきました。

F8 富士吉田 – FINISH

  • 累積距離:166.6km (区間距離:18.8km 獲得標高:951m)
  • 累積時間:25:01:46 (区間時間:2:48:48)
  • IN 25位 (区間順位:26位)
  • 霜山は途中走りを入れるほど前傾姿勢で登れた
  • ラスト5kmの林道は、苦楽をともにしたバディと閾値走。そしてサポト5みんなと最高のゴール

エイドではいつものルーティンと、ヘッドライトの電池を念のため交換しました。そして股ズレを感じたので、救護所でワセリンを貰いました。しかしここで救護の方が手間取られて2分ほど時間がかかってしまいました。ちょうど応援でチー100の黒田さんがいらっしゃって声をかけてくれて大きなロスにはなりませんでしたが。そんなこともあり6分ほどでエイドをアウト。最終霜山決戦に向けて万全の体制で出発しました。

ロードは遅いながらも淡々と走ることができました。霜山では緩い斜度は走ることができるほどに脚が残っていることに我ながら驚きました。セグメントは54分。試走より20分近く遅いですが、なんとか攻められたかなと。しかし、霜山を終えるともう脚は残っていません。激下りに脚はボロボロ。よちよち走りでなんとか富士急のロードに出ることができました。

あとはゴールの北麓公園まで登り基調のロードと林道を5km。タイムや順位など関係なくここまでの道程の余韻に浸りつつゆっくり走ろうと思っていました。が、ここまで前後して励ましあってきたバディから、

「後ろから凄い勢いで外国人選手がおってきている、逃げよう!!」

と声をかけられ、なんかわかんないけどその迫力に圧倒され私もそれに乗ってしまい、心拍170超えの閾値走をすることとなりました。静寂の林道に鳴り響くカウベルとおじさん二人の荒い息。ここにきてなんでこんな事に!ゴール手前の誘導ボランティアの方も驚いたでしょうね。

そして、なんとか後続を振り切り感慨に浸る間もなくゴールの北麓公園へ。ここまで引っ張ってくれたバディに先にゴールを譲り、私は一息ついてからサポートしてくれたLDA-RCのメンバーとハイタッチをしてゴールテープを切りました!!

ゴール後

まさかのラスト5kmの閾値走で胃が揺れて超絶気持ち悪くなり、ゴールの福祝の言葉に気の利いた返事もできずトイレに籠って嘔吐。2時間ほど休んでやっとまともに会話することができました。

また、帰りは始発の電車まで待つとお伝えしたところ、なんと自宅近くの駅までAnswer4のコバさんに車で送っていただき感謝しかありません。早速、アイテムはAnswer4に大交換したいと思います!!!

次回は本レースの振り返りです!

ABOUT ME
Ryohei Kobayashi
Ryohei Kobayashi
会社員、トレイルランナー
44歳。会社員トレイルランナー。ランニング歴25年。
トレイルランニングの魅力を発信します。
チーム100マイル、LDA-RC所属
【直近の成績】
2022 信越五岳100mile 25:05:37 14位
2023 Mt.FUJI 100mile 25:39:32 40位
2024 Mt.FUJI 100mile 25:01:46 25位
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